写真のことば

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Loftのバイヤーさんに聞くアルバムが売れてるって本当ですか?

文:藤本智士

フィルムからデジタルに大きく流れが変わった写真業界のなかで、アルバムも当然のごとく売り上げを落としていると、そんな風に思っていませんか?けれど、アルバムは超優良商品と言い切るお店があります。それは皆さんご存じの「LoFt」。その実情をLoFtバイヤーの田中由起子さんにお伺いしました。


藤本  アルバムって商品は、きっとオープン当初からずっとあったと思うんですけど、アルバムが目立ってきたのはいつ頃ですか?

田中  売上が大きくなってきたのを、売ってる側が気付き始めたのは多分この3、4年だと思います。ロフトは文具売り場にアルバムコーナーが入ってるんですけど、文具売り場の中でもアルバムって異質かもしれません。基本の文具っていうのは、書くもの、書かれるもの、それを綴じるもの。っていう大きなれに収まるんですけど、アルバムってどこの塊にも属していない。だから逆にどこで売ってても実はいいんです。見た目は文具に似てるけど、使う人とか使うシーンとか気持ちとかは全く別のところにある様な気がします。アルバムって文具の中ではマイナー選手です。だからアルバムってどこで売ったらいいの? って。なんですけど、そう思い続けていたら「あれ? なんか凄い売れるよね」って。元々は、カメラとかフィルムが、普通に誰もが使わなくなってきて、このまま衰退していくって何となく皆の頭の中にあるから、アルバムも同じく衰退していくだろうって。でもなんか売れてる。いったいこれは何だろう?って。誰が買ってくれてるんだろう?(笑)って言ってるうちにどんどん売上が大きくなってきたのが3、4年前ですね。で、「売れてる、売れてる」って言うと、作る人も増えてくるでしょ。作り手も「アルバムってそんなに売れるんですか!?」って、真剣にアルバムを作り出そうとして、どん どん増えてきたんですよね。しかも文具売り場の中では、商品単価が高いし(笑)。それでこぞって皆でアルバム作り出したら、売り場もどんどん大きくなってきたんです。

藤本  なるほど。確かにいまロフトさんのアルバムコーナーってかなりのスペースですよね。

田中  このながれになるんですけどね、一部店鋪では、フィルムカメラ・トイカメラの展開をしてまして、売上みてびっくりするのが、フィルム自体の売上がすごく高いんですよ。もちろんトイカメラファンの方向けの特殊なフィ ルムも多いんですけどね。社内の感じとしては、「なんでそんなにフィルムが売れるんだ?」って(笑)。「衰退したんじゃないの!?」って、復活してるんじゃないかと錯覚する位です。アルバムもそんな感じで「え、だって写真って誰が撮ってるの?」みたいな。いやいや皆撮ってるでしょ、パシャパシャ。携帯ではいくらでも撮りますよね。プリントの仕方とか保存の仕方とかが変わってるだけで、写真を撮る行為は増えているわけだから、それに対応した保存するものがあれば、マーケットはまだまだ大きくなると思いません?

藤本  一方で写真屋さんは自分がまさにそのど真ん中にいるのに、そこに気付けないっていうすごい図式になってる。

田中  アルバム得意な人が写真屋さんやればいいかもしれませんね(笑)。

藤本  本当そうですね。

田中  良いアルバムが見つかれば皆、撮った写真をプリントしたくなるし。逆のながれですよね。

藤本  今、世間の人たちにとって写真屋はフィルムのお店のままだから、写真屋=まったく行く用事のないお店になってるんですよ。だからふらっと入ってくれるように、新しい世代の写真屋さんたちは一様に雑貨屋的になってる。

田中  本当そうかも。

藤本  だから、もう写真屋って言わないほうがいいと思って(笑)。

田中  (笑)。ところでアルバム屋さんてありましたっけ?

藤本  ないと思います。

田中  じゃあ、ぜひ作ってみたいですね〜。実は夏頃に考えていて、まさに今いろいろリサーチしてるとこなんです。まだまだ自分達の売場も変えていかなきゃいけないなぁって思ってるところなんです。ロフトの売場でいうと、ポケットタイプとかフリー台紙アルバムタイプとか、そういう仕様での分類では収まらない商品がいっぱい出てきてる。だから、ファイリングという感覚でひたすら綴じていく人の為のアルバムのグループ、数ある写真の中から引き延ばして大切に綴じていきたいアルバムのグループ、誰かと一緒に思い出を共有するために作っていくアルバムのグループっていうように、売場の編集を変えていきたいなあって考えてます。そうすることで実はどんどん進化しているアルバムが、すんなりはまっていくんです。買う人の気持ちを想像して売場を作っていけば、もっと面白いアルバム売場ができるんだろうなあと思うんです。

藤本  そうですね。お店って本当にメディアですよね。

田中  そう、すごい判りやすいんですよ。生き物です! 周りを見てないと気付かない。えらそうですけど、もしかして写真屋さんって周りを見てこなかったのかなあって。媚びることはしなくていいとは思いますけど、皆が「うん、うん」って思ってくれるものに変化させていかないといけない。アルバムにとっては、それが今なんですよね、きっと。

藤本  写真屋さんに聞かせたい(笑)。

田中  ただ、アルバムが売れてるってあんまり皆想像してなかったのが、そうなんだって気付くと、商売っ気がどんどん出ちゃうじゃないですか。そんな堅苦しいことは言うつもりはないですけど、アルバムを綴じる人の気持ちをあまり考えないで作っているメーカーさんも増えてきてるのは時々感じますね。例えば今ロフトで一番売れているのは、ハート型のアルバム。開くとハート型になってて、見た目のインパクトあるし1冊3千円もするんです。高いですよね。最初全然売れなかったんです。でもこの2年くらい爆発的に売れています。元々は、何て言うかな、ただの色紙では色気がないし、写真は貼りたいけど、アルバムだと堅苦しいし、なんて探している人にちょうどヒットしたんですよね。皆で何か書き込んだり貼ったりして伝えたいって気持ちがあって、そこの気持ちとロフトに来て下さるお客さんの感覚がバシッて合ったのが、ハートアルバムだったんです。おかげで多い時は、月に1千万近く売れてきたんです。一人でこっそりアルバムづくりするのも楽しいんですけど、皆でワイワイ言いながら綴っていったものを誰かにあげたいっていう、作る時の楽しさもかなえてるんです。最初はこれでよかったんですけど、なんだハート型だったら売れるのかって、表面的にとらえられることも……。すると今度はハートのデザインのアルバムばっかりやたら出てきて、もうおなかいっぱい、みたいな(笑)。本来はそうじゃなくて、気持ちがお客さんに通じたから売れたんですよね。そこをはき違えられすぎると、困っちゃいます。そうじゃなかったんだけど〜って。

藤本  実体として残さなくても……っていう風潮がこれだけ強い中で、それでもアルバムを買おうとしている人がこれだけいるってことは本当に希望ですね。

田中  本当に。捨てたもんじゃないなって、本当にそう思います。でも多分今だからいいんでしょうね。逆にそういうところに還っていくというか。写真の話とは直接関係ないかもしれないけど、今って、肌触りのいいものとか柔らかいもの、木とか布素材とか、作っている人の顔が見えるものに皆の気持ちが集まっている気がしますよね。見えないものとか、誰がどこで作っているのかわからない冷たいものってやっぱり魅かれない。写真やアルバムってあたたかみが感じられるもので、皆のこうありたいっていう希望なのかなと。


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