写真のことば

写真のことば

アルバム屋さんのような写真屋さん

文:藤本智士
写真:伊東俊介

アルバムの語源でもあるラテン語の「albus(アルバス)」という名のお店が福岡県にオープンしました。そのオーナーである酒井咲帆さん(28歳)は、元々、保育園や幼稚園などの撮影カメラマンとして子どもたちの写真をのこしていくお手伝いをしたり、数多くの写真展を企画運営したりと、写真をのこしていくことの意味について、深く考え続けてきたそうです。レストランと共有された一軒屋の一角にて今年4 月にはじまったばかりのそのお店で、咲帆さんにお話を伺ってきました。


  子どもたちがいつかおじいちゃんおばあちゃんになって、孫に自分の写真を見せるときどんな話をするかなとふと考えたりするんです。「これがおじいちゃんの子ども時代だよ」って昔の写真を見せながら、きっと次の世代の子どもたちには想像もできないような話が広がっていくんじゃないかなって。残された1枚の写真が歴史を伝え、子ども時代のおじいちゃんとつながる。写真ってプリントされた紙のことを指すんじゃなくて、写真に流れてる時間や記憶、歴史なんだと思っています。だからそんな「写真」を伝えていくためのラボとしてお店をはじめました。

  そもそもアルバムって言葉は、名詞よりもむしろ動詞に近いんじゃないかなって思うんです。「アルバムする」という感じ。人はそれぞれ自分のアルバムを持っていて、それを形にしている人もいれば心の記憶に留めている人もいる。どれもアルバム。でも心の中にあるままだと、記憶はどんどん薄れてしまいますよね。だけどアルバムを作っていれば、それを見ることで、その当時の時間を共有できたり、写っているものや写した人の思いについて勝手に想像したり、いろんな話をしたりできる。そんな場を生み、人と時間をつなぐことができるのが「アルバム」なんだと思うから、そういう意味で、アルバムを作る行為を改めて提案したいなと考えてます。

  お店をオープンしてわかったことがいっぱいあるんですけど、驚いているのは、来店されたお客様に「写真屋です」と伝えると「え〜!大丈夫?」って言われるんです、「こんな時代に……」って。だから写真屋にプリントを出すという行為がほとんどなくなっているのを肌で感じてます。でも世の中の人が写真と関わりを持たなくなったわけじゃない。デジカメの中に埋もれた写真の整理の仕方がわからないままになっていたり、写真を残すということを考える時間を失ってしまっていたり、理由はいろいろでしょうけど今まで写真屋が「プリントする」ことしか提案してこなかったから、写真屋に用事がなくなる人が多くなってきたのかなと思うんです。

  お店を始めるにあたって、改めて「アルバムする」ことを考えたら、商品のセレクトや販売の仕方、陳列の方法など、いろんなことが見えてきました。「写真を残そう」って言葉で伝えていくよりも、より写真を残したいと思えるようなアルバムがそこに提案されていることの方が大切で説得力があるんですね。それも商材だけに頼るのではなく、自ら撮影してアルバムを作ることから考える。「アルバムする」ことの目的は残すことだけではなく、作ることが楽しいんだって感じること。そんな「アルバム」を形にしていくのが、写真屋「アルバス」としての使命だと感じています。


展覧会情報@アルバス

「清永洋写真展Frost」 2009年8月21日(金)〜9月3日(木)
写真のことばでも撮影を担当する写真家、清永洋が写真集の出版を記念して、彼の地元福岡で初となる展覧会を開催。21日の夜にはオープニングイベントも。

カメラピープル「みんなのコドモ展」 2009年9月5日(土)〜13日(日)
コドモ写真を撮る楽しさや、時が経った写真の素晴らしさを再確認できる展覧会。
詳細はこちら(http://camerapeople.jp/kodomo/

albus|アルバス写真ラボ

福岡県福岡市中央区警固2丁目9-14
TEL:092-791-9335  営業時間 11:00〜20:00
URL:http://www.albus.in/


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