写真のことば

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[写ルンですを売る人]

井上直好 さん

大阪市大正区「フォトショップ泉尾」

取材・文:藤本智士 / 写真:伊東俊介

大阪市大正区。区民の4分の1が沖縄出身者という独特な雰囲気をもつその町に、「フォトショップ泉尾」という一軒の素敵な写真屋さんがありました。店を守るのは、学者への道を捨て、お客さんと面と向かって商売をする写真屋さんを選んだという井上直好さん。そんな井上さんに、写ルンですのこと、そして、写ルンですをわたしたちに届ける写真屋さんという存在についてお話を伺いました。


小、中学生に向けて

大正区というところはね、沖縄系の人が多いんです。だからここの人たちは、例えば島唄を口伝えで教えるだとか、あくまでもアナログ文化の風土があるんですね。ですからそういう人たちは写真を非常に好きで愛しているわけですよ。昨日なんか1000枚くらいの写真を一気にプリントしてアルバムを10冊くらい買って帰った方もいました(笑)。もちろんデジタルもすごく普及してますけど、ご家庭では自分たちの子どもには小さい頃から写ルンですを持たせて写真を写させるんです。だから小、中学生でも写ルンですで写真を撮って平気で持って来る。実際、小、中学生の子に高価なカメラはいじらせたくないっていうことで使ってるのが主な理由でしょうけどね。……そういうことで、富士フィルムさんが、キデイランドやトイザらスあたりで小児用に写ルンですを売り出したらいいんじゃないかなと思うんですよね。もっとそういう子どもに対するアプローチからやらないといけないんじゃないかなと。サッカーや野球にはリトルリーグがたくさんある。そういう意味で、やっぱり小さい頃から写真に親しんで欲しい。今まで写ルンですは中高生以上、青年っていうものにターゲットを絞っていたけど、もうちょっと下のジュニア向けにしてくれたら写真の将来も明るくなっていくだろうと。あと、もう一つはね、写ルンですの取材だから言いたくないけどね(笑)、今の若い子はデジカメプリントって写真屋さんじゃなくて電機屋さんでするものだと思ってるんです。これはほんまにあった話なんですけどね。若い子が来て「写真屋さんでデジカメプリントしてくれるの!?」って。実際の声を何人からか聞いたんですよ。我々はそんなの知らないでしょ。カメラも写真も知らない子が携帯やデジカメで写真に触れているんですよ。だから言ってみれば、写真の裾野は昔から比べて桁違いに広がっていますよね。今までが100だとしたら10000くらいに増えてると思うんです。だから、9900の人は実は「写真」を知らないでデジカメを持っているという風に考えた方がいい。そういう流れを写真屋に向けるためには、今までとは違う逆転の発想をしないと。我々がいくら店頭スペースに4、5台デジカメプリント機を並べようと、「あそこは昔のフィルムしか扱わ ない写真屋さんで、今私たちが撮っているコレとは別物らしい」と思ってる。もともとそういう世代ってあまり写真屋に行ったことの無い人で、写真屋さんに行くルートを持っていないから店の前を通っても素 通りなんですよ。自分には無縁のものだと思っていますからね。そこをいかに写真屋さんに向けさせるか。そこにこそマーケットがあると思うんですね。

写真屋さんの存在意義

実は、これって若い子だけの話じゃないんです。私の店に長いことフィルムを出しに来ているお客さんまでも、コンビニでデジカメプリントをしているんですよ。うちの常連中の常連さんですよ。うちでデジカメプリントが出来ることを分かっていなかった。「PTAの関係で300枚くらいコンビニで出して、すごい金額になった」って愚痴をこぼしていたから「うちでやったら半額くらいで出来るのに何やってるの!?しかも綺麗に出来るのに」と言うと「えぇ?!!」って(笑)。30代の主婦の方なんだけど「フィルムしかやってないと思ってた」って。そういう現実を意外とみんな知らない。我々のショックはすごいですよ。そのお客さんもそのことが分かってなかったことにショックを受けて(笑)。だから、そういうことをちゃんと訴えつつ、一方で草の根的な活動かもしれないけど先ほどの写ルンですのジュニア化を含め、下の世代にフィルムを経験させるために写ルンですを使ってもらう機会をもつこと。毎年ね、中学生が社会体験学習っていうことで私どもの商店街の色んな店に配属されるんです。私のところは毎年2名受付けてるんですけど、縁あって私のところに来たんでね、それならば写真のことを分かってもらおうと思って写ルンですを渡して、自分で撮ってきたものを実際に自分で現像、プリントさせるんですよ。その体験が、その子らにとって、カルチャーショックなんです。「こんなに難しいこと、そして素晴らしいことを写真屋さんはやっているんだって」それが分かって半分ショック状態で喜んで帰るんです。子どもさんもあとで手紙をくれて「貴重な体験をありがとうございました、写真が好きになりました」って書いてくれる。だから、とにかくアプローチをしないと。電機屋さんに大量に並んだデジカメプリント機の前に座って一生懸命プリント出してる、あの姿。一人一人声をかけて伝えていきたいくらいですね(笑)。

フォトショップ泉尾

大阪市大正区泉尾2-16-16

TEL :06-6554-7151

水曜定休日


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