明日を撮る写真家

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Interview 明日を撮る写真家

そこに刻まれた歴史、記憶。撮りたいのは、目に見えないもの

楽観的だといわれても、やっぱり未来は信じたい

撮る被写体を選ぶ時、インターネットや書籍、資料を調べ上げ、綿密なリサーチをするという。とくに「眼鏡」のシリーズは、文化遺産であることもあり撮影許可が下りにくく、何年にもわたって申請を続けているものが今現在も多くあるのだそうだ。

米田:「撮りたいものを自分の中でじっくり構築していくタイプなので、そういった部分に手間や時間がかかることは、特に気にはなりません。事前のリサーチが凄く重要で、そこにも時間は必要だし。そうやって時間をかけて資料を調べていくうちに、私の中で撮りたい物語がだんだんと固まっていくんですね。そのかわり撮影は早いほうだと思います。構図なんかもその場で決まりますね。現場では直感的。被写体の持つエネルギー、魂のようなものに触れると、集中のスイッチが一瞬で入るんでしょう」

『シーン』シリーズにしても「眼鏡」シリーズにしても、米田さんの作品の起点は“同じ目線で見る”という、ごくシンプルでストレートなものだ。しかしだからこそ誰に対しても力を持つメッセージとなる。サイパンで玉砕していった人々が最後に歩いた崖への道の風景、セルビア軍のスナイパーが引き金を引く瞬間のアングルで見渡す街の姿。米田さんの写真によってもたらされる疑似体験は、日々私たちを通り過ぎていく“遠い国のどこかで起きている他人事”の戦争のニュースよりも、よほど親密でリアルな感情を喚起する。

米田:「現在、世界で起こっている戦争そのものを撮るというアプローチもあるのかもしれませんが、私はあまりダイレクトな表現は好きではないんです。だって、それだけが戦争ではないから。戦争や悪、悲惨な出来事は、何もその時だけのスペシャルなものではないんです。日常のどの瞬間にもあるし、誰もが簡単に当事者になりうるものだということを実感してほしい」

11月30日まで原美術館で行われている個展『終わりは始まり』では、これまでの活動を網羅する作品群に加え、未発表の新作も紹介されている。歴史や過去の記憶を撮り続けてきた作品のなかで、『ウエディング―中国から北朝鮮を臨む国境の川、丹東』と名付けられた船をとらえた新作写真が、この個展を象徴するものだと米田さんは語る。

米田:「これは中国と北朝鮮の国境にある川で偶然出合った中国人のウエディングボートを撮ったものです。きっとこの先いろいろなことがあるんだろう、でもうまくいったらいいなと、そんなことを思いながら」

「最終的にはそこに希望を見たいんです。これまでの作品も同じ気持ちではありましたが、この『ウエディング』は特に象徴的ですね。たとえ痛ましい戦争の傷跡を撮ったとしても、そういったことが今も繰り返されているんだと知っていても、やっぱり未来を信じたい。楽観的かもしれないですが、それでも希望は捨てたくないんです」


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プレゼントの応募受付は終了致しました米田知子展 「終わりは始まり」
※応募期間は、2008年9/25(木)〜10/8(水)とさせていただきます。
※当選者の方へのチケット発送は、2008年10/14(火)以降になります。
※展示会の詳細はこちら

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